『食卓にあがった放射能』

著者の高木仁三郎さんについて知ったのはつい最近のことです。日曜日、民放のテレビ番組で、反原発の「市民科学者」として紹介されていました。放送の終りころ同郷の上州人(群馬県民)であると分りました。
高木仁三郎さんは、1938年(昭和13年)群馬県前橋市の開業医の家に生まれ、東京大学理学部化学科を卒業(核化学・理学博士)。日本原子力事業(NAIG)総合研究所核化学研究室に勤務。東京大学原子核研究所助手、東京都立大学助教授。ドイツのマックスプランク核物理研究所客員研究員を経て、プルトニウムの研究から核化学の矛盾に気づき「過ちを改むるにはばかる事なかれ」と反原発に転向。1974年、プルトニウム問題を考える自主グループ「プルトニウム研究会」を組織。翌年、原子力業界から独立したシンクタンク・原子力資料情報室を設立、代表を務めた。
「市民科学者」として多くの著作と、反原発運動で生涯を貫いた。1997年には、物理学のノーベル賞といわれるライト・ライブリフッド賞を受賞したが、2000年10月に大腸ガンで死去。
(以下は百科事典・ウィキペディア引用・・・『地震による原子力災害への警鐘 1995年、『核施設と非常事態 ―― 地震対策の検証を中心に ――』 を、「日本物理学会誌」に寄稿。「地震」とともに、「津波」に襲われた際の「原子力災害」を予見。「地震によって長期間外部との連絡や外部からの電力や水の供給が断たれた場合には、大事故に発展」 するとして、早急な対策を訴えた。福島第一原発 について、老朽化により耐震性が劣化している「老朽化原発」であり、「廃炉」に向けた議論が必要な時期に来ていると (1995年の時点で) 指摘。 加えて、福島浜通りの「集中立地」についても、「大きな地震が直撃した場合など、どう対処したらよいのか、想像を絶する」と、その危険に警鐘を鳴らしていた』・・・引用終)
すでに16年前、今回の原発事故を予見した指摘を著作、運動の中で述べ、その通りの事態となっている。
番組の中で、未亡人が語っていましたが、東京大学、その後の組織は国の体制・中枢の研究機関にいたため、口では云えない迫害にあったという。「見知らぬ紳士が訪ねて来て、莫大な金額を提示し、論文、書籍、資料などの著作権を買い取る」精神的、肉体的にも体調を崩していた期間「一切の運動、著作活動などから引退する旨のニセ手紙が知人・友人・運動関係者などに送りつけられた」「自宅の近くで危うく交通事故に遇いそうになった」等々、サスペンス映画、小説にあるような事が現実にあったとインタビュー中で言っていました。
感じるのは、昭和30年に原発立法化を推進し今日の事態を招いた元凶が、当時「青年将校」後に「風見鶏」とも云われた政治家・中曽根康弘。反原発の旗手が高木仁三郎という二人が奇しくも「上州人」という因縁です。高木先生の墓は本人の希望により、上州人が「心のふるさと」と仰ぐ赤城山の副峰「鍋割山」に眠っているそうです。
●『新装版・食卓にあがった放射能』
高木仁三郎・渡辺美紀子共著だが、チェルノブイリ原発事故を解説し、その教訓と日本で原発事故が起きた場合のシュミレーションと食品汚染の影響や対応を分かりやすく書いてある。とかく、放射能や放射線の単位や意味は一般市民には分かりにくし、今日それで混乱や戸惑っている人は大勢いると思う。放射能にどう備えるかという点においても、今までいろいろな情報が錯綜して混乱している頭を整理するに適した一冊です。
★定価、 1,400円(+税) 発行・七つ森書館
●『新装版・反原発、出前します』
高木仁三郎講義録と副題がつく本書は、1986年に起きたチェルノブイリ原発事故を踏まえ、「市民科学者」として一般の人に分かりやすい言葉で、原発についての講義をした記録をまとめたものです。本物の原子物理学者が「原子力発電」「原発事故とその影響」「核燃料サイクル」「六ヶ所村計画」「エネルギー問題」について語ったものです。有能な反原発のジャーナリストが書いた著作とは一味違う内容で、原発の基本的なことを理解するのに非常に適切なものと思います。
★定価、 2,000円(+税) 発行・七つ森書館
★著者・高木仁三郎については、本文中に記述されていますから省略。
著作・『現代の博物誌 プルートーンの火』(現代教養文庫)『科学は変わる 巨大科学への批判』(東洋経済新報社)『スリーマイル島原発事故の衝撃 1979年3月28日そして… 』(社会思想社)『いま、普段着の科学者として考えること』(オルターナティブを考える会)『危機の科学』(朝日新聞社)『プルトニウムの恐怖』(岩波新書)『元素の小事典』(岩波ジュニア新書)『核時代を生きる 生活思想としての反核』(講談社現代新書)『ヨーロッパ反原発の旅』(原子力資料情報室)『原発事故 日本では?』(岩波ブックレット)『市民科学者として生きる』(岩波新書)以下、多数につき省略。
