『地球温暖化論に騙されるな!』

本書は以前に『ほんとうの環境問題』という書籍と一緒に紹介済みの本ではあるが、再び取り上げたのは原発推進の利権グループがその理由として「地球温暖化にとって原発はクリーンエネルギー」という詐欺的なキャンペーンを張ってきた経緯がある。二酸化炭素を犯人に仕立て上げ、原発ビジネス推進の口実や、二酸化炭素の排出権売買のビジネスモデル等、うさん臭い仕組みを構築してきた論理をあばき、論破するまともな科学者の書いた一書である。
IPCC (専門家でつくる気候変動に関する政府間パネル)という国際機関があります。地球温暖化理論の権威付けとして国際政治および各国の政策に強い影響を与えているが、著者は『地球温暖化を主張する人たちは、IPCCという国際的な研究機関の見解を信じ込んでいるようだ。国際的な研究機関の権威は確かなものだろうが、そんな権威に疑いを持たない科学者は何のために研究しているのだろう。私は地球温暖化論について根本的に間違っていると言っているのだ』と述べています。
著者の立場は、「地球惑星科学」という純粋な科学的見地から地球温暖化の誤りを指摘している。『私の寒冷化論はデンマークの宇宙物理学者、スベンスマークが提案した「宇宙が地球の気候を支配する」という理論、いわゆるスベンスマーク効果を発展させたものだ。スベンスマークは過去50年~15年のデータに基づいて、宇宙線が雲を作るという理論を提案した。私は彼の理論を過去1000年の歴史と気象データに基づいて検証した。すると、宇宙線の量と気象変動の関係は合致することが証明できたのである。宇宙線の効果に加え、太陽活動周期、地球磁場、火山他21世紀の気候予測に応用すると、地球の寒冷化は間違いないという結論に行き着いたのだ』とあります。
他の資料でも、IPCCの権威に屈しない骨のある他の科学者、カナダ人地球物理学者ノーム・カルマノビッチ博士等や大勢の科学者が「実証データは、温暖化と寒冷化のサイクルが二酸化炭素の排出レベルとはまったく無関係に起きていたことを示している」ということを証明している。
本書は、地球温暖化学説を政治や経済に利用してビジネスモデルの理論付けとするような恣意的なものではなく、純粋に科学的な立場から主張を展開している。その結果として温暖化ビジネスや原発推進の口実に対して反論する事となっている。日本人は、国際機関というと「公正中立」と思いがちだが、すべての国際機関は設立メンバーやメンバー国の本当の目的はヴェールに隠されている。IAEA(国際原子力機関)もその例にもれない。国連を見る通り加盟国の多数決では何も強制力はない。常任理事国で決まったことしか強制力はなく、その内一国でも反対すれば何も決まらない組織である。だから「公正中立」は建前でしかないことがわかる。
人は地球温暖化にしても、いろいろな形で脳に刷り込まれると反論に対して正常な判断力を失いがちである。本書のように原発反対という立場でなく、純粋に科学的態度で書かれた内容を吟味して、確り読み取って頂けると幸いと思い推薦するものです。
●『地球温暖化論に騙されるな!』
★著者・丸山茂徳
1949年徳島県生まれ。徳島大学卒業後、金沢大学大学院修士課程、名古屋大学大学院博士課程修了。アメリカスタンフォード大学客員研究員ほかを経て、1989年東京大学助教授となる。1993年より東京工業大学理学部教授、のちに同大学院理工学研究科教授。アリゾナ大学客員教授。地質学者で専攻は地球惑星科学。
1993年地球のマントル全体の動き(対流運動)に関する新理論「プルームテクトニクス」を打ち立て、学会に衝撃を与える。同理論で日本地質学会賞受賞。2000年には米国科学振興協会(AAAS)フェローに選ばれる。2006年紫綬褒章受章。世界に知られた地質学者の権威である。
★定価、 1,400円(+税) 発行・講談社
