東洋医学(鍼灸・気功・食養・漢方薬)臨床経験30年の筆者の体験をもとに、毎日を健康に暮らすための、お役立ち情報をお伝えいたします。

医食同源お薦めの本-55 若杉友子の野草料理教室

wakasugi-400.jpgこの本の著者・若杉友子さんは、どこにでも居そうな田舎のおばぁちゃん。20年前までは、静岡で料理教室を主宰していたそうですが、「口にするものは、自分で・・」という思いが募り、京都・綾部へ移り住んで11年、摘み草と料理教室で自給自足に近い生活。内容を見ただけで、経験の豊富さと実践を通しての智恵の深さを感じる本です。

また、編集を担当したのが、料理教室で学んでいた二組のご夫妻が中心となって、いわば素人に近い方達がまとめたものですが、非常に見やすいレイアウトで、写真もプロにはない生活感があふれたものになっています。食料輸入大国である日本は、いままで世界中からお金さえ出せば必要量はまかなえるという考え方でしたが、時代は間違いなく転換しました。お金を出しても食料が買えない事態が当たり前の時代がやってきます。地球上には黙っていても毎年8千万人づつ人口が増え、10年経つと8億人分の胃袋が増えるという事です。食料生産の伸び率はもう限界に来ていることが国際機関でも論じられています。

戦争がなくても飢餓の時代が来るかも知れない情勢です。日本ではわずか60年前に戦中・戦後の食料難時代がありました。その頃の日本人は生きるために山野の豊かな恵みを活かす智恵を身につけていました。日本は幸いなことに四季の移ろいがはっきりして、植物の再生産性が高く、季節ごとに豊かな自然の恵みがあります。しかし、それを活かす智恵が無ければ宝の持ち腐れです。

野草は別に田舎でなくて都会でも気をつければいくらでも採集できます。河川の土手や、公園、空き地、自宅の庭など。もちろん里山や川の流れる田舎では野草の宝庫です。しかし、それを上手に処理して食べるには、知識が必要です。

本書をお奨めするポイントは、山野草の見分け方、料理はもちろんですが、料理の基本、ご飯の炊き方でも今まで気がつかなかった「ハッ」とするような事が書かれています。もち草(よもぎ)は、応用範圍の広い野草ですが、これほど色々な利用法があり、またこんな料理に使えるという経験と知識は、これ一章を読むだけでも価値があります。

山野草だけでなく普通の野菜、ソラマメ、タマネギ、ジャガイモ、キャベツ、インゲン、春菊などの料理のポイントが確り書かれています。また、調味料の塩、醤油、味噌の上手な使い方と、料理レシピの豊富さは、山野草に初心者でも充分わかりやすいものです。家庭に一冊、座右書としてお奨めです。


★『若杉友子の野草料理教室』

★編者・若杉友子の本をつくる会・高草洋子
★売価・ 1,429円(+税) 発行・ふーよよ企画


医食同源お薦めの本-54 からだが変わる! 「きくち体操」

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人は誰でも年をとると体が固くなって来るものですが、当院のような所へ来る腰痛や膝痛の患者さんの95%は足指と足首の関節が固くなっています。擦診のために足の指をはさむと大抵の人が「痛てテテッー」とか「ギャーッ」とかの反応を示します。老化は低体温だけでなく、体が固くなることによって拍車をかけます。本書は女性にもよろしいのですが、最近とみに体が固くなった=老化が進んでいると、お思いの「お父さん」にお奨めの本です。

「こんな簡単なことが」と思っていた事が出来ないで愕然とすることがありますが、特に関節や筋肉は意識して動かさないと老化のスピード早まるばかりです。著者は体育短大から体育教師を経て「きくち体操」を創作したそうですが、手を動かすことで上半身が活性化するという考えから、手の小さな関節の運動から始めています。

試してみると、手の動きも最初は思うように動かないことを思い知らされます。気功の中に、「大手印功」(タースーインコン)という手指を様々に組み合わせて、いろいろな病気に効く気功があります。これとて、一番基本の指の組合せも、最初は指の関節が痛くて、とても指が組めません。手指、足指に限らず、指先は全身の筋肉と連動していることが鍼灸の「経筋療法」には説明されている通り、「きくち体操」が手指の運動から始めているのは正解です。普段、PCのキーボードを叩いたり、ピアノを弾くにも全身の筋肉を使っていることをほとんどの人は気がつかないだけです。

手の運動から、足の運動、背・腹の運動、脚・股関節の運動、首・顔の運動と順番にこなして行くと、従来のラジオ体操のようなイメージと違って体が急速に変わって行くのを感じることが出来るでしょう。著者の教室の写真には、大きな「筋肉経絡図」が貼ってあるところを見ると、東洋医学の知識もあるのではないかという気がします。

運動するところの手指、足指や、動かす筋肉・関節を意識するという言い方は、気功の「意念」と似た考え方です。気功と同じに無理な力を入れず、リラックスして動き、また「操体法」のように動かして「楽」に感じる方向へ数多く動かすように付け加えるならば、効果はさらに上がることでしょう。

低体温化が進んでいる現在、若い人でも体が固くなっている人は大勢います。老若を問わず、本書で動きを試してみて体の老化を知るバロメーターにもなります。そして、毎日少しづつでも実践するならば、「体は変わることが出来る」ということを実感されると思います。


★『からだが変わる! 「きくち体操」』

★著者・菊地 和子
日本女子体育短期大学卒、体育教師を経て「きくち体操」創作教室主宰。
日本ホリスティック医学協会会員、湘南平塚看護専門学校講師。

★売価・ 800円(+税) 発刊・廣済堂

医食同源お薦めの本-53 冷蔵庫で食品を腐らせない日本人

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魚柄仁之助(うおつか・じんのすけ)とは、ちょっと読み難い部類に入るお名前ではある。食に関した苗字としてはぴったりだが、生家は九州で日本料理を営むという。大学で農業を学び、バイク店や古道具店の経営を経て、現在、食文化研究家として数多くの著書をあらわす。軽妙洒脱な文章でありながら、その舌鋒の鋭さには定評がある。

魚柄さんの初期の著作は何冊か読んだが、自ら研究実践した「安全で健康的、無駄なく安上がりな食生活」ということが一貫している。本書は昨年出版した『冷蔵庫で食品を腐らす日本人』(朝日新書)に続くものだが、冷蔵庫で知る恥知らずな日本人という指摘と、食品の偽装問題、毒入りギョーザ事件に見られる消費者のあり方についても、国や行政のせいでなく安全は「自求」するものと切り返す。

確かに、知人の家へ行ったとき、夫婦ふたり暮らしの家庭なのに冷蔵庫の中は、いろいろな食品でギュウギュウ詰め、「新鮮野菜を少し買って工夫すれば、一ヶ月の食費は使わなくてもこれで間に合うのではないの?」という状態でした。そんな家庭が日本中どれくらい多いか、計り知れないものがあるのでは、と感じます。

日本が高度成長時代になって以降、冷蔵庫は大きくなった。どんどん詰め込んで冷蔵庫で食べものを腐らせる。食べ物に対してこんな失礼なことはない。本来、日本人生来のものであった「もったいない」「始末」というコトバですが、いま一番もったいないことをしているのが日本人。そこで、本来の正しい冷蔵庫の使い方を知ることによって、食物価格高騰時代でも困らない「地球にも、人体にも、ふところにも、安心にして安全、そして健康に導く食生活の技」が満載の書です。


もちろん食生活の基本は台所ですから、魚柄流・台所の原理原則を踏まえ、安全保存食に欠かせない必需品をあげていますが、調味料としてだけでなく、塩、酢、醤油、味噌、焼酎、油など日本古来からの食品の優れた保存性と応用の仕方まで、微細にわたり詳述されています。冷蔵庫のない時代、戦前の家庭だったら常識だったかも知れない「アッ」と驚くような保存食の作り方まで内容が多彩です。一般家庭で、これほど実用的で便利なものはちょっと見当たりません。核家族でも、大家族でも役立つ一書です。


★『冷蔵庫で食品を腐らせない日本人』

★著者・魚柄 仁之助
食文化研究家・『うおつか流大人の食育』(合同出版)、『うおつか流台所リストラ術』
(農文協)、『1人前100円なんで美味いの?』(徳間文庫)、 『知恵のある 和の家 和の食 和の暮らし』(主婦と生活社)、『うおつか流 みんなで体験!台所塾』(合同出版)、 『おかわり飯蔵』(ドラマ原 作)等多数。

★売価・ 1,400円(+税) 発刊・大和書房

医食同源お薦めの本-52 永田農法で作るベランダ・屋上菜園

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ローマで開催された「食料サミット」では、世界的に食料不足が切迫していることが取り上げられ、アフリカやアジアの一部では、それに伴う暴動が起きていると報じられています。日本では今までお金さえ出せば、いくらでも世界中から輸入できるという考え方できたようですが、今日の新聞報道ではその担い手であった大手商社が「食料がお金さえ出せば手に入る時代は終わった」というコメントで農産物を作ることまで手がけるという事です。しかし、それも現地の外国の政治情勢で、いつどうなるか分らない事です。

カリブ海の国・キューバは、かつてアメリカから経済封鎖をされたとき、食料難に陥り首都ハバナを始め、都市農園化政策を進めて危機を乗り切りました。食料を外国に頼ることの危うさは、今も昔も変わりありません。
そのような時世を反映してか、最近は趣味と実益を兼ねて自家菜園で野菜を作る人も見られるようになりました。地方では小さな庭で作れる人もいるでしょうが、都会ではベランダや屋上などの空間しかない人もいると思います。
自然農法や有機農法は様々な考え方があって結構幅広いものですが、永田農法といえば「完熟トマト」を発案し作ったことで有名です。発案者の永田照喜治さんは、トマトの原産地ペルーに近い環境や土づくりをして、原種・野生の力を発揮させる農法ですが、一名スパルタ農法とも呼ばれました。

著者の永田洋子さんは、長女で永田農法の後継者と、この本で知りました。野菜研究家であり、またアフリカやアジアで野菜栽培の技術指導をして来られたとの事です。
戦時中、戦後の食料難時代、自宅の庭やベランダで野菜を作った経験を年配の方ならお持ちでしょうが、本書は全くの初心者でも小さな面積で栽培できる方法を手引きしてくれます。
ベランダ・屋上栽培で失敗する原因は、ほとんどが様々に異なるベランダ環境に配慮していなかったためと著者は言います。失敗の原因を取り除き、日当たり、風、温度など初心者でもコツさえつかめば、生活スタイルの違いも考慮に入れて栽培できます。
準備から、栽培、採れた野菜のレシピまで、34種類の年間栽培カレンダーの中から選び、生活に合せて収穫を楽しめるというものです。関心のある方にとっては最良の手引き書と思います。野菜の自給によって、家庭の食のあり方もまた変わってくるかも知れません。


★『永田農法で作るベランダ・屋上菜園』

★著者・永田 洋子
早稲田害学大学院・アジア太平洋研究科修士過程修了。アグリ・ナガタ代表。

★売価・ 1,500円(+税) 発刊・水曜社

医食同源お薦めの本-51 活性酸素と野菜の力

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十数年前に「野菜スープ」でガンが治るなどとテレビ、雑誌などでブームになった事がありましたが、「のどもと過ぎれば熱さを忘れる」で大方の人は記憶の片隅にもないのでは、と思います。しかし、その間日本人の三大死亡原因、がん、心臓病、脳卒中は、増えこそすれ少しも状況は変わっていないのです。

その間、ガンによいという食品や健康によいとい言われる食品がきちんとした検証もされないままマスコミを賑わし、放送翌日には店頭から商品が売り切れてしまうという社会現象まで起きました。テレビではヤラセや捏造(ねつぞう)番組まで起きて、次第にこのテの番組に対する不信感を釀しだしたのも当然の成り行きといえます。

しかし、その間にも、「野菜スープ」の薬学、栄養学、分子生物学の観点から研究をすすめ、従来の定説からさらに新しい知見を盛り込んだ成果を『活性酸素と野菜の力』という本にまとめ発刊されたのが崇城(そうじょう)大学薬学部教授・熊本大学名誉教授・前田浩先生です。

本書で主張している主な点は・・・・
〇活性酸素「脂質ラジカル」を消す「野菜スープ」の効果の証明。
〇お茶類や、茶色や褐変する根菜類、豆類の抗酸化作用の証明。
〇加熱の重要性と、熱に弱いとされているビタミンや酵素についての新知見。(長らくよいとされていた野菜の生食は、野菜スープのほうが10~100倍も活性酸素の中和力が高いと証明)
〇青菜に多い硝酸塩についての新見解。(従来悪いといわれている物も、適量によっては有用という説)
〇旬のものや露地栽培のものは、ハウス栽培に比べて有効成分が多いこと。
〇長期過剰摂取と断りつきですが、塩分、鉄分、脂質については控えめにという説。


本書に書かれていることは、十数年経つと従来の定説が覆されていることがいくつかあります。さらに新発見につながる次世代栄養学への期待と課題が提起されていますが、現時点で私たちがマスコミで流される情報に振り回されないため、モノサシとなる知識としては充分な内容と思います。

ただ、本書は論文や外国文献からの引用もあり、分子式や専門用語が多いため一般書としては読みこなすのにやや難点がある。しかし、興味のある方や、学生、専門家にとっては読みごたえのあるものなので、ぜひお奨めしたい一書です。

中でも、本書の推薦文を書いた愛知県がんセンター名誉総長・富永祐民先生は「野菜スープ」を飲むようになってから老人斑が消え、九州大学医学部名誉教授・倉恒先生は「野菜スープ」を飲みだしてから白内障が元に戻り、眼科の専門医を驚かせたというから、きちんと実践すれば単なるいかがわしい話しではないことが納得できるでしょう。

本書は具体的な料理の仕方まで書いてないので、次の本をぜひ参照して作って下さい。

●医食同源お薦めの本----『あなたのために・いのちを支えるスープ』

●医食同源お薦めの本----『わらのごはん』



★『活性酸素と野菜の力』

★著者・前田 浩
医学博士・農学博士・崇城大学薬学部教授・熊本大学名誉教授

★売価・ 2,400円(+税) 発刊・幸書房


医食同源お薦めの本-50 HSPが病気を必ず治す

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昨年は、日本語の頭文字をアルファベットで表記することが流行したようだが、余り感心した傾向ではないと思っている内に早くも廃れてしまったようである。
本書のHSPは、聞き慣れないと思うが「ヒート・ショック・プロテイン」の頭文字をとっている。
私たちの体の組織は、さまざまタンパク質によって出来ていますが、HSP(ヒート・ショック・プロテイン)もそのひとつで今から40年ほど前に発見されました。しかし、その作用は深く研究されこともなく見過ごされてきました。

本書は、愛知医科大学医学部助教授・伊藤要子先生が温熱療法の研究をしている時に、HSPの不思議な作用に気づき医療の現場で応用した事や、スポーツの身体能力向上、家庭で出来る温熱健康法まで広い範圍の応用を説いたものです。

数えきれないほど多くのタンパク質で構成される体は、ストレスによって傷を受けます。HSPは、とてもかしこく、相手がどんなタンパクでもその傷害部位を見つけて修復し、良いタンパクにしてくれます。ですから、さまざまな病気やストレス傷害を軽減、治癒してくれるというものです。つまり、レスキュー隊のようなものと先生は言っています。

簡単にいえば加温によってHSPが増え、ストレス潰瘍、腎不全、放射線傷害、筋肉疲労、疼痛緩和などの様々な疾患に効果があることが証明されましたが、医療、看護レベルから、スポーツにおける身体運動能力の向上、家庭で出来る健康管理法として応用できるものです。

家庭で出来る方法として、自宅のお風呂で可能ですが、本書に書いてあるような準備と手順をきちんと守ることが必要です。現代人は低体温の人が多く、老人だけでなく、幼年者や若者にも多く見られます。低体温の弊害は、計り知れないものがあり、アレルギー疾患の増加やかつての成人病が若者に増えて生活習慣病と名称が変わったほどです。

東洋医学の立場で「冷えは万病のもと」ということを以前から口を酸っぱくして言って参りましたが、本書に書いてあるお風呂での加温法は、簡単な手順通り実行すれば驚くほどの効果が挙がると考えます。高齢化社会における老人の健康管理法としても、アルツハイマー癡呆や老化防止、うつ防止など家庭で役立つと共に、様々な効果が立証されています。ガン治療の温熱療法など専門家でなければ出来ないこともありますが、医学的に効果を立証し、家庭で簡単に出来る方法を考案された功績は応用させて頂く価値ありです。

★『HSPが病気を必ず治す』

★著者・伊藤 要子
1949年、愛知県生まれ。愛知医科大学医学部・附属核医学センター助教授。
1995年、日本ハイパーサーピア学会優秀論文賞受賞。

★売価・ 1,400円(+税) 発刊・ビジネス社

医食同源お薦めの本-49 台所重宝記

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「お勝手」とか「台所」という言葉が日常的に使われなくなっているが、また「重宝」(ちょうほう)という言葉も同様に思える。重宝するとは、情報を便利に役立てることだが、本書は明治38年の初版であるから102年前に刊行されている。著者の村井弦斎は当時の報知新聞(読売新聞の前身)に連載小説を書いていた明治大正時代のベストセラー作家である。百年以上前の著作物にもかかわらず『温故知新』(古きをたずねて新しきを知る)という「食」に関する知識と智恵の豊富な内容で、啓蒙的な読み物である。

現在の主婦で、当時の食に関する知識や鑑識眼を常識として知っていた主婦に匹敵する人がどれくらいいるだろうか。現代の食生活は加工食品などは指で袋の封を切ればすぐ食べられるから味気ないものになっているが、食べ物の知識があれば、そこへ一工夫加えて食べると美味しく食べられる。

例えばご飯を炊くにしても、いまはマイコン付の炊飯器で炊けば誰でも同じに出来ると考えられるが、お米の見分け方、つまり古米、新米、米粒の大小、撞き方の違い、お米の研ぎ方の違い、水の分量割合などを勘案して炊けば全く違う味に炊ける。炊飯器のマニュアルは、標準的な炊き方であるから、お米の見分け方を知って炊飯器にかければ炊きあがりも違うのは道理である。

本書は、漬物のこと、味噌、醤油、酢、みりんなどの調味料の良し悪しの見分け方、野菜、果物、卵、肉・魚などの良否の鑑別法、魚の匂いなど、これを知っていたなら主婦として一人前であり、主婦としてプロであると思う。いまは庖丁、まな板がなくてもデリカでお惣菜が売られ、袋入りの加工食品を買えば済ませられる時代だけに尚更である。

本書は、食べ物だけでなく暮らしに必要な知識、料理道具のこと、衣類の染み抜き、掃除、洗濯のこと、食べ物と体の仕組み、料理暦(旬の食べ物、食べ方)など、人の暮らし全般にわたっている。もちろん時代の違いによって現在では使われない道具の知識などもあるが、それに数倍するお役立ち情報が満載である。また、主婦に限らず一般の人が読んでも面白い実用的な教養書といえる。


★『台所重宝記』----村井米子 編訳----

★著者・村井弦斎
1863~1927年、三河の国(愛知県豊橋市)に生まれ、東京外国語学校ロシア科中退。ロシア、アメリカに渡り、帰国後小説を書き、新聞連載小説で大ベストセラー作家となる。
★売価・ 1,200円(+税) 発刊・平凡社

医食同源お薦めの本-48 普通の家族がいちばん怖い

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筆者の岩村暢子(いわむらのぶこ)さんは「食」の専門家ではなく、マーケットリサーチの調査プロである。本書の内容は、八年前に着手した「急変しつつある現代家族の実態」を調べ、膨大なデータを解析、分析したもので、広告調査会社にありがちな特定の企業利益や有利な調査データを得るためにまとめたものでないところに価値がある。

最近の日本の家庭では、年末、年始のイベントといえば、クリスマスとお正月といえます。1999~2000年、2004~2005年の2回にわたり実施された「フツウの家族の実態調査」(クリスマス・お正月編)を取り上げている。

本書の調査対象は、普通の暮らしをしている日本人であり、世帯年収も比較的高く、主婦の最終学歴も高卒、専門学校卒が42%、短大、四大卒が57%を占めている。しかし、40代以下の世代が嵌まりこんだ西洋のヴァーチャルリアリティ(架空現実)であるクリスマスという行事の実態が生々しく記述されている。

普通今までクリスマスといえば、50代以上の人は戦後の商業主義が産み出したコマーシャルイベントとのひとつと考えている、と思う。子どもたちにしても、幼年時代までの「夢」として小学生にでもなれば、サンタクロースは架空であることを知る、と思う。ところが、40代以下の主婦や中学、高校の子どもがクリスマスごっこの夢から覚めていない実態にビックリさせられる。

そして、家庭の食事が孤食化、エサ化している問題が言われて久しいが、「お正月」にしても多くの主婦がイヤでイヤでたまらず、「お正月」なんかないほうが好いと考えている深層心理が浮き彫りにされている。

既製品でも「お節料理」を買うのはまだマシなほうで、お雑煮などの手作りは問題外、普段以上のバラバラ個食、好き勝手なものを買い与えて食べる数多くの写真は「その現実はホラーよりもホラーである」(養老孟司先生・評)と云わしむるのに充分である。

このような家庭が日本全世帯の何%を占めるかは不明だが『対岸の火事』視することなく、「崩食」家庭にならぬよう反面教師として参考にしたい一冊である。

★『普通の家族がいちばん怖い』----徹底調査!破滅する日本の食卓----

★著者・岩村暢子
法政大学卒。広告会社アサツーディ・ケイの200Xファミリーデザイン室長。
★売価・ 1,500円(+税) 発刊・新潮社

医食同源お薦めの本-47 あと3年で世界は江戸になる!

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もと銀行マンでもあり、経済学の専門家である筆者が、日本という視点から近未来を考え、世界が平和と共生の時代を進まねばならないとき「江戸時代」というすごい社会モデルがあったというお話。

戦後、日本人はGHQ(連合国軍総司令部)の教育方針に従って「祖国に対する誇りを失う」よう洗脳された。つまり、戦前の日本は軍国主義、帝国主義の侵略国家であり、その前の江戸時代は封建制度で身分制度の厳しい庶民が虐げられた時代」と日本史観を刷り込まれた。

私の年代でも歴史教育の中で、江戸時代は、士農工商の身分にがんじがらめにされ、封建制の真っ暗な時代と教えられた。鎖国政策によって海外の貿易を禁じ、西洋の新しい文物や情報が入らず、それで江戸時代は西洋の文明に後れをとったと刷り込まれた。

ところが後年、いろいろな事を知るうちにどうもそれはおかしいと感じるようになった。少年時代の読み物は、野村胡堂の「銭形平次捕り物控」であり「人形佐七捕り物帳」であった。後年、池波正太郎の「鬼平犯科帳」や「必殺仕掛け人」「剣客商売」を愛読し、江戸時代の庶民の生きざまを読んだときに感じたことであった。考えてみれば、当時の日本は人口3千万人で、一地域にまとまった国としては世界一であり、江戸の人口100万人は、当時のロンドンやパリ(50万人)をしのいでいる。

しかも、食料は自給して、石化燃料を使わないから公害など知らない、そして全くムダのないリサイクル社会であった。江戸という街に100万人が住み、水不足もなく、ゴミのない街で、「子どもたちは男女・貧富をとわず学校(寺子屋)で読み書きを学んでいる」と幕末頃来日した、イギリス、ロシアの外国人が書き残している。日本に開国を迫ったアメリカのペリー提督でさえ「書物が店頭に並べられ、人民は一般に読み方を教えられている」と、本国に報告している。


江戸時代の識字率は、日本全体で50%と推定され、世界でもスウエーデンやドイツの一地方とともに、トップクラスだった。江戸時代初期、数学では吉田光由の『塵劫記』(じんこうき)に、数の読み方が定められている。それまでは一、十、百、千、万、億、兆、京、と10倍ごとに桁が変わっていた。新しい桁名を覚えるわずらわしさを正し、万から先は十万、百万、千万など入れ、4桁毎に換える方式にした。世界一すぐれた数の読み方はこの本で確立されたという。しかも、大ベストセラーとなり読まれたというから、それまでの世界でもなかった現象である。


本書は、江戸時代を400年前に出現した「超先端国家」と評する。それは、江戸時代に創造され、流行した文化が脈々と受け継がれ、しかもそれが世界に向けて発信され、受け入れられている事実がある。今や「寿司」「天ぷら」「とうふ」「醤油」などは、世界中に普及してきている。「俳句」「川柳」「浮世絵」などが愛好され、歌舞伎や文楽など欧州やアメリカで高い評価を受けている。

最近、本屋さんの店頭で「和算」の本が並べられているというが、西欧世界に100年もさきがけ「微分・積分」「円周率」が解かれていたことは、知識水準の高さを証明している。いま高齢化、人口減少、政治・経済の手詰まり感など、逼塞状態にある日本だけでなく、世界に通用する「エドナイゼーション」は、すばらしい社会モデルと事例をあげて列挙する。

戦後、「自虐的歴史観」により自信喪失に陥っている日本人にとって、自分の国の歴史観を見直す、わかりやく、読みやすい好著である。

★『 あと3年で、世界は江戸になる』----新「風流」経済学----

★著者・日下 公人
東京大学経済学部卒、日本長期信用銀行取締役、ソフト化経済センター理事長等を経て、現在日本財団特別顧問


★売価・ 1,400円(+税) 発刊・㈱ビジネス社

医食同源お薦めの本-46 じょうぶな子どもをつくる基本食

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前回紹介の『赤ちゃんの生命のきまり』のところでも、戦後の子育ての誤りの中で最大の問題点は、「子育て医学のあやまり」と「母子健康手帳の間違い」と申し上げました。その中でひとつの問題点に子どもの「食生活」があります。

哺乳類としてのヒトは、母乳を1年以上与えるのが基本であり、その後離乳食に切り換えて行くわけです。そのとき何を食べさせたら良いのか、よく分らないというお母さんが大勢います。あるいは間違った離乳食の指導によって、アトピー性皮膚炎、ゼソクなどのアレルギー性疾患が急増する原因となっています。

若いお母さんの中には、子どもの食事は難しいと考えている人もいますが、これらは、戦後の榮養教育によって誤った食生活の常識が子どもの健康を損ない、偏食の子どもをつくり、かえって子どもの食生活を難しくしています。本書は、長い間病院の栄養士として食事指導をしてきた『粗食のすすめ』の著者・幕内秀夫さんが書いた「子どもを丈夫に育てるための基本」をわかりやすく説明しています。

日本人は日本で昔から食べていた、ごはん、味噌汁、漬物を基本にした和食にもどるべきであり、「子どもの食事も日本の伝統食がじょうぶな体をつくる」と説き、その原理がわかれば食生活の常識が変わり、子どもの食生活ほど簡単なものはないと言っています。

子どもの腸の仕組みは、大人と全くといっていいほど違います。その事が理解できれば、離乳食、基本食、おやつ、おかずについての考え方が身につきます。それに加えて食物の安全性についても、どんな事を配慮すればよいかもわかります。

著者は子どもの食事改善運動の一環として、長年「学校給食の完全米飯運動」を推進してきましたが、理想的な給食、地場給食のすすめについて、現在も地道な活動を続けています。それによって「食育」の大切さが理解して頂けるものと思います。

小さなお子さんの食事について自信のない、まだ自分のモノサシがはっきり分らないお母さんにとっては、非常によい指針になる一冊と思い推奨いたします。

★『 じょうぶな子どもをつくる基本食』----日本の伝統食が子どもを守る----

★著者・幕内秀夫・茨城県生まれ
東京農大栄養学科卒・管理栄養士
「学校給食と子供の健康を考える会」主宰

★売価・ 1,300円(+税) 発刊・主婦の友社