『冷蔵庫で食品を腐らせない日本人』
魚柄仁之助(うおつか・じんのすけ)とは、ちょっと読み難い部類に入るお名前ではある。食に関した苗字としてはぴったりだが、生家は九州で日本料理を営むという。大学で農業を学び、バイク店や古道具店の経営を経て、現在、食文化研究家として数多くの著書をあらわす。軽妙洒脱な文章でありながら、その舌鋒の鋭さには定評がある。
魚柄さんの初期の著作は何冊か読んだが、自ら研究実践した「安全で健康的、無駄なく安上がりな食生活」ということが一貫している。本書は昨年出版した『冷蔵庫で食品を腐らす日本人』(朝日新書)に続くものだが、冷蔵庫で知る恥知らずな日本人という指摘と、食品の偽装問題、毒入りギョーザ事件に見られる消費者のあり方についても、国や行政のせいでなく安全は「自求」するものと切り返す。
確かに、知人の家へ行ったとき、夫婦ふたり暮らしの家庭なのに冷蔵庫の中は、いろいろな食品でギュウギュウ詰め、「新鮮野菜を少し買って工夫すれば、一ヶ月の食費は使わなくてもこれで間に合うのではないの?」という状態でした。そんな家庭が日本中どれくらい多いか、計り知れないものがあるのでは、と感じます。
日本が高度成長時代になって以降、冷蔵庫は大きくなった。どんどん詰め込んで冷蔵庫で食べものを腐らせる。食べ物に対してこんな失礼なことはない。本来、日本人生来のものであった「もったいない」「始末」というコトバですが、いま一番もったいないことをしているのが日本人。そこで、本来の正しい冷蔵庫の使い方を知ることによって、食物価格高騰時代でも困らない「地球にも、人体にも、ふところにも、安心にして安全、そして健康に導く食生活の技」が満載の書です。
もちろん食生活の基本は台所ですから、魚柄流・台所の原理原則を踏まえ、安全保存食に欠かせない必需品をあげていますが、調味料としてだけでなく、塩、酢、醤油、味噌、焼酎、油など日本古来からの食品の優れた保存性と応用の仕方まで、微細にわたり詳述されています。冷蔵庫のない時代、戦前の家庭だったら常識だったかも知れない「アッ」と驚くような保存食の作り方まで内容が多彩です。一般家庭で、これほど実用的で便利なものはちょっと見当たりません。核家族でも、大家族でも役立つ一書です。
★『冷蔵庫で食品を腐らせない日本人』
★著者・魚柄 仁之助
食文化研究家・『うおつか流大人の食育』(合同出版)、『うおつか流台所リストラ術』
(農文協)、『1人前100円なんで美味いの?』(徳間文庫)、 『知恵のある 和の家 和の食 和の暮らし』(主婦と生活社)、『うおつか流 みんなで体験!台所塾』(合同出版)、 『おかわり飯蔵』(ドラマ原 作)等多数。
★売価・ 1,400円(+税) 発刊・大和書房
