『食品のカラクリ』
今から40年前の昭和40年代は、食品添加物の害が社会問題化して、多くの裁判などで争われた時代であった。ズルチン、チクロ、デヒドロ酢酸、さらし粉、過酸化水素でなどで、特にAF2(合成殺菌料・トフロン)の裁判は長期にわたった。
この『食品のカラクリ』は、偶然東京の本屋の店頭で見かけたものだが、奥付を見ると7月15日に発行し、9月末には第4刷発行とあるから、この種の本としては、結構部数が伸びて買っている人が多いと推測できる。
執筆者は、郡司和夫さんで、食品汚染、環境問題のジャーナリストであるが、AF2(合成殺菌料・トフロン)の裁判の当事者であった有害食品問題の先駆者でジャーナリスト・郡司篤孝先生の次男である。郡司先生の講演は、30代のときに10回近く聞いた思い出もある。
故・郡司篤孝先生は、AF2(合成殺菌料・トフロン)の裁判では、国(厚生省)と上野製薬を相手に「強力な発ガン物質」である事を証明し、消費者弾圧裁判といわれたものを逆転勝訴し、「使用禁止」を獲得した硬骨漢である。
ここ10数年、食品添加物は余り人々の注目を集めることもなかったと思う。実態や汚染は以前よりひどいにも関わらず、造るメーカーや加工業者の使い方が巧妙になったのでマスコミも関心がそれていたかも知れない。むしろ、一般消費者の「健康志向」により、テレビ番組では「赤ワインのポリフェノール」「ヨーグルト」「ココア」「クエン酸」「アミノ酸」「黒酢」「寒天」などなど、クスリ的効果をあおり、一般視聴者は右往左往と踊らされるという図式が未だに続いている。
このところ輸入食品や危ない食品に関心が高くなり、このような類書が注目を集めるようになったと思う。事実、今まで知らなかった新しい「だましのテクニック」が紹介され、ファミレスやスーパーで売られている加工食品の中には「ここまで巧妙に造られているか」という舞台裏がわかる。
BSE(狂牛病)問題でゆれる「牛丼」にしても、肉の問題ばかりでなく、安い原価の秘密は「業務用米」の深い闇の存在が示唆されている。日常食べている一般食品から健康食品まで、そのカラクリを伝える本書の内容は、消費者の関心が高まっている現在、タイムリーな刊行と思い、一見することをお奨めします。
★雑誌・別冊宝島「食品のカラクリ」
★執筆者・郡司和夫(食品汚染・環境問題を中心にしたフリージャーナリスト)
★定価、 1,000円(+税) 発行・㈱宝島社
