『ゼロからの免疫力』
10日ほど前、以前から一度お話を聞きたかった著者・ 藤田紘一郎先生(東京医科歯科大学教授)回虫博士の講演を聞きに行って参りました。著作の中でホームページに紹介した「日本人の清潔があぶない」の内容通り、ユーモアにあふれた話しぶりでした。
医学生になろうとして、三重県多気郡○○村から東京へ出て受験したのが東京大学医学部。田舎出の学生が、受けたのはよいが「生物学」 のホルモンの出題で、「ホルモンは食べるもの」だとばっかり思っていた為に、見事不合格という話しに会場は大爆笑。翌年、 東京医科歯科大学へ合格したものの、野暮天の代名詞「柔道部」に在籍中、大学の便所で「熱帯病調査団長」の教授に会ったのが「ウン」のつき、 インドネシアのカリマンタン島へ荷物もちで行くことになったそうです。
以来40年、第二の故郷というべき島の子供たちを見ていると、ウンチの流れている川で遊んでいる子供のほうが、日本の子供よりよほど強くたくましく健康であることに気づく。いろいろ調査しているうちに、最近の日本人の行き過ぎた「ご清潔」との違いは、回虫の有無にあるということ。かつて50年ほど前の日本人の6割以上は回虫持ちだった。その頃にはアトピー性皮膚炎や杉花粉症などはほとんど見られなかった。研究によると回虫の出すウンチやオシッコの中に分子量2万くらいタンパク質が人の免疫力を上げる物質であると発見したのが藤田先生。
大人も子供も「抗菌グッズ」生活をしている現代、特に親が子供の体の中に入ってきたバイキンを抗生物質でやっつけ、身の回りのバイキンを抗菌グッズで遠ざけ、子供が本来もっている免疫システムを弱くしてしまったという。だから菌としてはヤワな部類の大腸菌O-157にも抵抗力のない体になっているという事です。大人でも、例えばトイレで洗浄するようになってから急増した女性のさまざまな膣炎は、膣に定在するデーデルライン定在菌を流してしまうため、トリコモナス菌などの病原菌の侵入を許してしまうからだといいます。
つまり、微生物や回虫も全部が悪い虫ばかりでなく、人間社会と同じで、悪いのもいれば、善いのもいるという事を知ることが大切。 バイキンやウィルスを初めとしたいろいろな生き物との「共生」につきる、という結論です。もちろん、食べ物の大切さも説いておられましたが、 食べ物の作り方も、戦後の農法は化学肥料や農薬による「ご清潔」な方向へ進んで来たと思います。そのため、 もやし的なひ弱な作物が人の体をつくる事となり、確かに農作物からの回虫感染は激減しましたが、新聞に時折載るように 「体格は大きくなったが、体力が無い小学生」ばかり、ということが言えますね。
話を伺っていて、気(Qi)のパワーが不足した野菜など、食べ物に気合が入れられるのは、 気(Qi) パワーソルトではないかと思いました。ゼロ歳から健康な子供を育てるための考え方、実行の仕方が回虫ばかりでなく、食、水、住まい、環境、 旅、五感の磨き方など様々な角度から書かれています。特に、お子さんをこれから育てる若い方々必見の一冊と思います。
発刊・集英社 定価600円(税込)
