医食同源お薦めの本-56 メタボの罠 病人にされる健康な人々
2006年、メタボリックシンドロームという言葉が、流行語大賞のひとつに選ばれて2年経った。以後、「メタボ」という言葉がいつのまにか新聞、テレビ、雑誌などのマスコミを通してポピュラーな用語として定着してまったようである。平成20年(2008年)度より義務化する特定健診では、メタボリック症候群の人々があたかも病人のように扱われるようになる。一体このような事を、企画し、仕組み、実施して得をするのは一体誰なのか疑問に思うところである。
かつて、高血圧の診断基準がいわゆる血圧の上、収縮期で140mmHg以上を「高血圧症」と、学会で変更したため二千万人の高血圧患者が新たに増えて、医療機関での投薬機会が増えました。今回も産(製薬業界)・官(厚生労働省)・学(大学・研究機関)の癒着の匂いを多くの方々が感じているのではないかと思います。小さく新聞記事に出ていましたが、メタボリック症候群関連薬品の審査をする大学の研究所や教授が、その製薬会社から研究補助金を受け取っていると云う事です。
メタボリックシンドロームとは、ウェスト周囲が男性で85センチ以上、女性で90センチ以上あって、血圧、脂質、血糖のうち基準に該当するとき、一つ以上の場合は予備軍、二つ以上に該当するとメタボリックシンドロームというのである。しかし、本書では、ウェスト周囲、血圧、脂質、血糖に関する基準が「捏造」ではないかと疑われるほど怪しい数値で、医学統計的に分析されて選択されておらず「談合」と思われる内容と批判している。
国際的にみても、例えばウェスト周囲は、基準値を海外と比較すると、男性が女性より小さいという奇妙さで、国際糖尿病連合から「日本のウェスト周囲径の基準は奇妙だから使わないように」という宣言文が出ているという。その他も同様に、厚生労働省の定めた基準は矛盾だらけという。そして、何よりも問題点は、日本総合健診学会の特定健診に含まれる全ての項目によるシュミレーションの結果によると、日本における健康異常者総数は5,035万人に上る計算で、むしろ異常なのは特定健診の判定値のほうではなかろうかという。
そして、メタボ健診の主体者が政管健保(中小企業)、組合健保(大企業・役所)、国保(一般国民)などになるため、被扶養者(家族)は、健診場所が遠くなったり不便になる。受診率の目標値を達成しない場合は、75歳以上後期高齢者の保険料にペナルティを課す。メタボリックシンドロームの人が病気になった場合は、自己負担を多くするなどの検討がされているというから、それが本当に国民のためなのかという疑問が湧く。
皮肉なことに、著者の調査では「チョイメタ」の人のほうが最も長生きであり、「非メタ」の人より死亡率が低いという事である。結局、自分の健康は自分で守ることが必要であり、特定健診などで病気にされないために、きちんとしたモノサシを身につけることが重要となります。その意味において本書は格好の参考書となります。
お奨めの本-37
★著者・大櫛陽一(医学博士、東海大学医学部教授)
★定価、 720円(+税) 発行・角川SSコミュニケーションズ