東洋医学(鍼灸・気功・食養・漢方薬)臨床経験30年の筆者の体験をもとに、毎日を健康に暮らすための、お役立ち情報をお伝えいたします。

医食同源お薦めの本-42 うつぶせ寝健康法

utubusekenkoho-400.jpg
人の一生は、三分の一(一日約8時間)が睡眠にあてられます。考えてみますと人生の大きなウエイトを占めているにも関わらず、「眠り」については医学的にも深く研究が進んでいたとは言い難いものがありました。

西洋医学でも「不眠症」という病態があり、東洋医学でも「失眠」という病態が存在することは認識されていますが、一般の病気に付随する症状として対処されていたのが現状です。

ですから寝相(ねぞう・ねすがた)によって睡眠の質が違い、全身に対する影響が異なるとの本書の主張は、今までの常識をくつがえす画期的なものといえます。寝相にはあおむけ寝(仰臥位=ぎょうがい)、うつぶせ寝(腹臥位=ふくがい)、よこ向き寝(側臥位=そくがい)の三通りがあります。

寝るというと、私たちの頭にある常識ではあおむけ寝(仰臥位=ぎょうがい)が普通です。普通の暮らしの中でも、映画や芝居の中でも、あるいは病気で臥せっているシーンであっても、皆おむけ寝(仰臥位=ぎょうがい)ですから、まずうつぶせ寝(腹臥位=ふくがい)のシーンにおめにかかった事がありません。まれに、外国映画などで金髪の美人が腹這いで寝ていて、羽根枕などに顔を横向けにしていると、首が疲れないか、顔面骨の圧変形をおこさないか、などと余計な心配をしてしまいます。

この『うつぶせ寝健康法』は、医学的に睡眠中の体位や呼吸法について、研究会での症例発表が始まったのが平成11年12月からです。著者のひとり・丸川征四郎先生の話しによると、そもそものきっかけは、病院の集中治療室に重症の呼吸不全の患者さんがいました。常時、血液中の酸素濃度を計測していましたが、うつぶせ寝(腹臥位=ふくがい)に近い状態になったときに、血液中の酸素濃度が上がることがわかったのです。そうすると当然人工呼吸の負担は軽くなります。うつぶせ寝には、副作用が全くないことからも治療の一環として確立できないか、ということから始まりました。

ご存じのように、監修者の日野原重明先生 (聖路加国際病院理事長)は、97歳の現役医師として活躍されていることは有名です。先生は、うつぶせ寝(腹臥位=ふくがい)に切り換えて5年経ちますが、若いときの結核合併症である気管支拡張の喀痰が出るのがすっかり消えてしまったと、本書の前書きにも述べておられます。


北欧やヨーロッパの多くの国々がうつぶせ寝(腹臥位=ふくがい)の習慣が普及しているのに、日本で研究が遅れ、普及しなかったのは「文化の違い」や「住環境」の違いなどが挙げられます。もともと、人類の発生進化からいうと、脊椎動物5億年の歴史のうち、背骨が大地に対して垂直になった(直立)のは500万年ですから、100倍の期間は、脊椎動物は背中を天、お腹を地として生きてきたわけです。つまり、人類ももとをたどれば四つばいの状態のほうが、地球の重力に対しても楽なのです。

だとしたら、いつも提唱している健康の要である『鼻呼吸にする』『片側噛みをやめる』『腸内細菌を善玉菌にする』『寝相をよくして骨を休ませる』『冷たいものを食べない』という五つの条件を実現するための最良の方法でもあります。

本書は、看護と医学の専門家が経験と検証を経て、一般の方が家庭で実行できるよう、やさしく書き下ろしたものです。もちろん、うつぶせ寝(腹臥位=ふくがい)のリスクもありますから、方法をきちんとわきまえることも大切です。そのための小道具も必要です。そして、一部でいわれている「赤ちゃんのうつぶせ寝」の危険性は、この方法とのコンセプトの違いがきちんと説明されています。

健康な方の普通の暮らしでも、看護の必要なお年寄りでも、家庭で療養中の病人でも、うつぶせ寝健康法によって、全身状態が大幅に改善されるなら、まさに人生の一大事と思います。内容を良く吟味して頂いて、ぜひ実践して頂きたいと思い推奨する次第です。

私の実験的・体験リポートも別紙「メルマガ」での連載報告が始まりました。こちらのバックナンバーをぜひご覧下さい。


★『うつぶせ寝健康法』

★著者・川島 みどり (日本赤十字看護大学教授)
★著者・丸川 征四郎 (兵庫医科大学教授)
★監修・日野原重明 (聖路加国際病院理事長・同名誉院長)

★定価、 1,200円(+税) 発行・ KKベストセラーズ

も く じ