東洋医学(鍼灸・気功・食養・漢方薬)臨床経験30年の筆者の体験をもとに、毎日を健康に暮らすための、お役立ち情報をお伝えいたします。

お薦めの本-29 『生きて死ぬ智恵』

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今年のお正月、読み直した本の中にこの一冊があります。最初、宗教に関わる本をご紹介するのは、ちょっとふさわしくないかな、と思いましたが、何方にも共通するテーマとしてこれほど深く感銘を受けたものはありません。

心訳・般若心経とある本書は、単なる般若心経の解釈本と違います。 西遊記でご存じのあの玄奘三蔵法師がインドから持ち帰った経典のひとつと言われています。西遊記はフィクションですが、玄奘三蔵法師は、実在の人物でした。

私の菩提寺は曹洞宗ですから、仏事や法事、寺の行事にもご住職やお坊さん方が必ずお唱えするお経の一つです。ですから、経文の一部は多少頭の中に入っています。また、「色即是空」や「空即是色」など文言が有名なお経でもあります。

この般若心経の訳は、宗教学者や研究者からみたら異論のあるところでしょうが、心訳とある通り、著者の柳沢桂子さんの生きとし生きて、死と向かいあって来た感性のままに訳されたといってよいでしょう。柳沢さんは、お茶の水女子大を出て、コロンビア大学大学院博士課程から慶応大学医学部分子生物学教室助手となり、生命科学では世界に先駆ける成果を残し、将来を嘱望されていました。

しかし、突然「原因不明の難病」に冒され、36年間闘病生活を強いられています。99年にようやく診断がついたと思ったら2004年には新たに「脳脊髄液減少症」という奇病が加わり、まさに死と向き合いながら生きて来たといっても過言ではないでしょう。闘病のかたわらサイエンスライターとして頭角を現し、エッセイストとしても才能を開きました。

この般若心経の訳は、読む人によっても意訳に過ぎると異論のあるところでしょう。しかし、心訳とある通り、著者の柳沢桂子さんの生死ぎりぎりのところで生きて来た人しか達観しえない感性のままに訳されたといってよいでしょう。

ことにNHK教育テレビ「こころ時代」放映は、大反響を呼び、ある知人いわく「とにかくこの番組は正座して見ねばと頭を叩かれた気分でした。本当にすごい・・・」と言わしめたほどでした。

心訳・般若心経は、美しい現代語で語られています。これほど平易に生命や生き方について般若心経を分かりやすく説いた本を知りません。意訳に過ぎるという批判もあるかも知れませんが、「いのちの意味」をわかるためにも読んで欲しい一冊です。

★文・柳澤桂子 画・堀 文子

★定価 1,200円(税込) 発刊・小学館

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