東洋医学(鍼灸・気功・食養・漢方薬)臨床経験30年の筆者の体験をもとに、毎日を健康に暮らすための、お役立ち情報をお伝えいたします。

お薦めの本-10『わらのごはん』

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岡山県の山中で民宿「わら」を営んでいるという船越さん夫妻が書いた、この「わらのごはん」を手にしてたとき、 いわゆる病気治しのための食養の料理本や、しかつめらしい和食の料理本とはちょっと違う印象を受けた。本の表題にあるように食事は 「おいしく」「ありがたく」頂くのは当然だが、「楽しく」の部分については、中身を読むと、なるほどと思われる。

船越さん夫妻の体験に裏打ちされた料理のレシピが数多くあるが、 陰陽の基本を踏まえながら余りそれにとらわれていないところが気軽に読める原因かなと思います。料理の基本である「だし」 のとり方も分かりやすく、それを応用した吸い地の濃い口、淡口、揚げ物かけだし、うどんつゆなど、応用が効くし、作り方も懇切である。 そして、ほとんどの料理には、野菜が主体なので当然ではあるが、「重ね塩」が指示されていて、塩の使い方も練達の士であることが読み取れる。

山中の民宿だから、野菜は自家菜園でとれたもの、まわりの里山で採れる自然の恵み、さまざまな食材を料理するわけです。 とかく現代の食生活は都会暮らしだと、食材の選択は何でも多種少量買えるし、季節感も自由に選択できる。ところが、 本来食物には一番成長して、本来の栄養分を保つ「旬」エネルギーがある。自然食の作物では、でき始めると毎日採れるし、いわゆる「ばっかり」 となるが、そんなときのバリュエーションに富んだ「ばっかり」食の考え方と応用レシピが数多く掲載され、「ばっかり」 に戸惑う主婦でも簡単にできそうである。

春夏秋冬、季節の料理の仕方も、食材の組合せも融通無碍、 ふつう食養では多用することは好ましくないといわれる魚介類も季節と野菜の組合せにより、美味しそうに出来上がっている。料理法も「和」 にだけこだわらずフランス料理、イタリア料理、中華料理のレシピも違和感なく使いこなしている。そして、パーティー料理には、ビール、 ワインも山の景色と共に写し出され、堅苦しくないのが程よい。

そして、日本人にとっては「ごはん」が主役であることを、陰陽や身土不二の堅苦しい話でなく、 シーソーのたとえでやさしく説く著者の見識は、実践と深い経験に裏打ちされたものだけに、なじみのない人にもわかりやすい。 このテの本にしては、中々写真もきれいで、構成もうまく出来ている。普段扱うことが少なくなった材料の下ごしらえも、細かく写真で説明され、 男でもちょっと料理してみようかなという気になる。

料理は、「まずは、やって見てください。レシピ通りに料理をしてみて、思い通り出来たためしがない。・・・・・・ レシピはその手がかりです。手近にある材料を使って、まずやってみましょう」という言葉は同感である。 近頃は料理離れの主婦が増えているといわれていますが、これから料理を身につけたい主婦には、ぜひお読み頂きたい一冊です。

発行・地湧社  3,000円+税

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