東洋医学(鍼灸・気功・食養・漢方薬)臨床経験30年の筆者の体験をもとに、毎日を健康に暮らすための、お役立ち情報をお伝えいたします。

お薦めの本-11『料理を深く考える』

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この本を取り上げたのは、親友である中学時代同級生の娘婿と従兄弟(著者)という関係から頂いた本だから紹介したというわけではない。 また、フランス料理のレシピを書いた本でもない。この本は著者・伊藤和人さんが、料理人を志して、どんな方法で学び、 知識と技量を蓄えて行ったか、まさに「好きこそものの上手なれ」といった諺を地で行ったようなメモリーであり、 和洋を問わず料理人を志す人の気構え、心構えをどのように持ったらよいかが参考になる本だからである。そして、これから志す人が学ぶべきは、 その準備の周到さではないかと思う。

料理は、洋の東西によって「身土不二」異なるものだが、普遍的に美味しい料理は、それぞれその国の文化が背景にあってこそ、 料理に旨味や奥深い味が出てくるものと考える。著者が若くして志を立てたとき、たまたま料理がフランス料理だから「言葉」から入っていった。 そして仕事に着く前に、フランスの田舎、 しかも余り料理人は普通行かないような山岳地帯でキノコやトリュフを採取する現場を一週間も同行して見聞を広めている。もちろん、 フォアグラを飼っているところも尋ね、農家の人たちと交流を図っている。だから、 素材に対するいつくしみや理解のレベルが一段と深いのかも知れない。

洋の東西を問わず、料理は食材・素材の命(気)を頂くものだから、その上に成り立っているという認識がある料理人と、 単なる食べ物としてしか食材を見ない料理人とでは、おのずと出来上がったときの料理の気迫みたいなものが違う、 ということをいつも感じています。日常の仕事をこなしながら、料理のコンクールの練習と、 偶然年一回の試験が重なってしまったソムリエの勉強と、周りからみたらものすごい努力も、本人から見たら大変ながら、 楽しんでいるという心境だったと読み取れました。

料理人の資質のひとつとして、料理に対する感性と共通ということがありますが、古来料理の上手い人は、 絵や書も彫刻も上手な人が多いようです。北大路魯山人の例をひくまでもなく、焼き物(陶磁器)まで手がける人も多いのです。 著者が本の全編に描いてるイラストは、全部自ら今まで描いてきたものでイラストレーターとしても一流の域に達している。

パリでは三つ星レストランとして有名な「マキシム・ド・パリ」の銀座店・副料理長として活躍している著者だが、 40歳を出たばかりの中堅シェフである。「若き料理人へのメッセージ」とあるけれど、もっと大成したときの著書が、 どんな風にレベルアップするか楽しみではある。同郷出身というだけでなく、偶然高校の後輩にも当たる著者の今後の精進を期待するものです。 フランス料理のお好きな方が、ある意味「通」になれる内容で、これを知っていたらもっと味わい深くなるかも、の一冊です。

発行所・新風舎  定価1,000+税

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