東洋医学(鍼灸・気功・食養・漢方薬)臨床経験30年の筆者の体験をもとに、毎日を健康に暮らすための、お役立ち情報をお伝えいたします。

お薦めの本-1『あなたのために・いのちを支えるスープ』

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家内が講読している月刊誌の偶然読んだ記事で、料理家・随筆家・辰巳芳子さんのことを知った。

記事の中にある「あなたのために・いのちを支えるスープ」という本を取り寄せた。この本を著すきっかけは、 お父上の八年におよぶ言語障害をともなう半身不随の病に、療養中の嚥下困難がスープと結びつける機縁となったと言います。「つゆもの、 スープ」と人の関わり合いはの真髄は、あらゆる理論を超えて「一口吸って、ホッとする」ことと書いていますが、明治生まれの父なども、 味噌汁に限らず汁物のことを「つゆを呉れ」などと言ってましたから、露が降り、ものみな生き返るさまと重ねて、 自然観にあふれた表現と思います。

辰己さんの恩師は、加藤正之先生という方で、大正から昭和にかけて宮内省膳寮において、仕事をされた方だそうですから、 日本の伝統的な料理のこころをきっちり伝えられたものと思います。

この本に願いを込めて書いたことは、

●人が生を受け、いのちを全うするまで特に終りを安らかにゆかしめる一助となるのは、おつゆものと、スープであると確信。願わくは、日本の病院食にこの本が貢献しうる日があるように、とのことです。

テレビ番組で放送していましたが、いま日本の病院では、患者さんに完全静脈栄養の輸液で好しとしています。しかし、回復が遅かったり、むしろ悪化していく症例が多いのに気がついた病院では、スープや流動食で、自分の口から食物を入れ、 胃や腸で消化吸収するよう患者さんを訓練したところ回復しやすくなったということです。そこで、分かったことは、大腸の絨毛の上皮細胞の中に免疫物質が増え、完全静脈栄養の輸液をしている患者さんの腸は、極端に少なくなっていたということです。

●学童・中高生の給食には、安全な農作物、雑魚のだし汁、日本大豆の味噌で作った味噌汁を実現したいと言うことです。

●最も切なる願いは、家庭生活で、おつゆもの、スープが、何気なく、温かく、家族を守り育ててくれますように。

本書の中で、おつゆもの、スープの解説が図式にチャート化されていて、和・洋いずれも非常に理解しやすく解説されています。

そして、レシピは教室の生徒さん百余名のスープ教室を六年続けたという練習の中で、改良を重ねてきたものだそうです。 いま若い女性や主婦の中には、日本の伝統的な味噌汁をきちんと作れることが伝わっていない事が多いようです。たかが味噌汁ですが、だし汁の取り方、水のこと、味噌の扱い、四季折々の具の使い方、火の扱いまで、家庭料理の基本を期せずして学ぶことができます。

現在、NPO活動で「良い食材を伝える会」の活動を通して、日本の食文化や食と生命の関わりを守り育てようと、 80歳という年齢を感じさせず活躍中です。料理、なかでもおつゆものと、スープに関しては座右の一冊とされるにふさわしい本と思います。

発行所・文化出版局 定価2,730円(税込)

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